擁壁計算機
単純な重力式擁壁の主働土圧、壁体自重、予備的な転倒安全率を概算します。
擁壁の安定性チェック
寸法はメートル法で統一してください。水平で乾燥した非粘着性の背面土と、中実コンクリートの重力式擁壁を仮定した簡易モデルです。
擁壁の安定性について
擁壁は高低差のある地盤から受ける側圧に抵抗します。この計算機は、初期段階で壁体の寸法比を比較するため、意図的に単純化した重力式擁壁のチェックを行います。乾燥した水平な非粘着性の背面土にランキンの主働土圧理論を適用し、土の内部摩擦角から主働土圧係数を求めます。側圧は深さに比例して増すため、合力は土の単位体積重量、係数、壁高の二乗、壁の長さの積の半分です。この力は底面から壁高の約三分の一の位置に作用します。
壁体自重はコンクリートの単位体積重量を 24 キロニュートン毎立方メートルとして概算します。壁を中実の長方形断面とみなすため、体積は高さ、厚さ、長さの積です。転倒チェックでは自重が壁厚の中心に作用します。したがって抵抗モーメントは壁体重量と壁厚の半分の積、転倒モーメントは主働土圧合力と壁高の三分の一の積です。抵抗モーメントを転倒モーメントで割った値が、表示される安全率になります。
1.5 は一般的な予備比較値として示すもので、承認基準ではありません。実際の擁壁設計では、滑動、支持地盤の接地圧、偏心、沈下、全体安定性、構造耐力、排水、地震荷重、上載荷重、凍害、洗掘、施工段階も検討する必要があります。底版のつま先部とかかと部は安定に寄与する重量や腕長を大きく変えますが、この単純な長方形モデルには含まれません。排水不良時には水圧が土圧を上回ることがあり、最終設計で絶対に無視できません。
土の内部摩擦角と単位体積重量には、現地の地盤工学的資料に基づく値を使用してください。粘着性土、傾斜した背面土、締固め荷重、近接基礎、車両、フェンス、資材の仮置きには、より詳細な土圧モデルが必要です。受働抵抗は、掘削、侵食、埋設管工事で壁前面の土が失われる可能性があるため、制限または無視されることがよくあります。適切な荷重係数と抵抗係数も、採用する設計法や地域の規定に依存します。
この結果は、高さ、厚さ、土の性質が基本的な転倒機構に与える影響を理解するために使ってください。施工図書としては使用できません。擁壁の崩壊は重大な人身事故や物的損害を招くため、着工前に資格を持つ地盤・構造の専門家が現地条件、排水、基礎、配筋、法規適合性を評価する必要があります。
擁壁の計算例
| 簡略化した擁壁 | 計算結果 | 解釈 |
|---|---|---|
| 高さ 3 m、厚さ 2 m、長さ 10 m、土の単位体積重量 18 kN/m³、内部摩擦角 30 度 | 土圧合力 270 kN、壁体重量 1,440 kN、安全率 5.33 | 簡易条件における厚い重力式断面の概念例です。 |
| 高さ 4 m、厚さ 1.5 m、長さ 5 m、土の単位体積重量 18 kN/m³、内部摩擦角 30 度 | 土圧合力 240 kN、壁体重量 720 kN、安全率 1.69 | 表示された比較値を満たしますが、詳細設計は別途必要です。 |
| 高さ 3 m、厚さ 1 m、長さ 5 m、土の単位体積重量 18 kN/m³、内部摩擦角 30 度 | 土圧合力 135 kN、壁体重量 360 kN、安全率 1.33 | 予備的な転倒比較値を下回ります。 |
擁壁計算機の使い方
- 土を支える高さ、単純化した壁厚、解析対象の壁の長さをメートルで入力します。
- 適切な地盤資料に基づき、土の単位体積重量と有効内部摩擦角を入力します。
- 「擁壁を解析」を選び、主働土圧合力、自重、転倒安全率を確認します。
- 予備結果を有資格の専門家に提示し、地盤と構造の詳細設計を依頼します。
擁壁計算機のよくある質問
どのような条件を仮定していますか?
中実の長方形コンクリート壁の背面に、乾燥した水平な非粘着性土があり、ランキンの主働状態にあると仮定します。完全な底版や鉄筋コンクリート片持ち壁の断面は表しません。
この安全率には滑動も含まれますか?
いいえ。表示値は抵抗モーメントと転倒モーメントのみを比較します。滑動、支持力、全体安定性、構造耐力は個別に検討する必要があります。
なぜ排水が重要なのですか?
水は静水圧を加え、側方への力を大幅に増やすことがあります。確実な排水とフィルターは、多くの擁壁構造で不可欠です。
土の物性値はどこから得るべきですか?
適切な地盤調査や設計指針により現地向けに設定された値を使用してください。一般値では盛土の種類、密度、含水状態、締固めを正しく表せない場合があります。
この結果を基に施工できますか?
できません。これは学習用の予備概算であり、資格者が承認した設計ではありません。専門家による現地、荷重、基礎、排水、配筋、法規要件の検討が必要です。