デカルトの符号法則計算機
多項式係数の符号変化を数えて、正の実根と負の実根の個数を予測します。
多項式の係数を次数の高い順にカンマ区切りで入力し、[分析]をクリックしてください。
デカルトの符号法則計算機
多項式係数の符号変化を数えて、正の実根と負の実根の個数を予測します。
デカルトの符号法則について
デカルトの符号法則は代数学の古典的な定理で、1637 年のレネ・デカルトの著作『幾何学』で初めて公表されました。この法則は、多項式の係数の符号を見るだけで、正の実根と負の実根の個数の上限をすばやく与えてくれます。根そのものを求める必要はありません。
正の実根については、実係数多項式 f(x) の正の実根の数は、非零係数の並びにおける符号変化の回数と等しいか、その回数から偶数だけ少ない数になります。2 つ減るごとに、実根 2 個の代わりに複素共役根の組 1 組が入ったと考えます。
負の実根を調べるには、x を −x に置き換えて f(−x) を作り、その係数列の符号変化を数えます。その回数が、元の多項式の負の実根の最大数を表し、同様に偶数だけ少なくなることがあります。
例として f(x) = x³ − 2x² + 5x − 3 を考えます。係数は 1, −2, 5, −3 です。符号を見ると +, −, +, − なので、符号変化は 3 回(+→−、−→+、+→−)です。したがって f(x) の正の実根は 3 個または 1 個です。f(−x) = −x³ − 2x² − 5x − 3 では符号が −, −, −, − となり、符号変化は 0 回なので負の実根も 0 個です。
重要な注意点として、符号変化を数えるときは 0 の係数(多項式に存在しない項)を無視します。符号列に含めるのは非零係数だけです。つまり x⁴ − x² + 1 は [1, −1, 1] として扱い、[1, 0, −1, 0, 1] とは数えません。
この法則が強力なのは、計算が非常に簡単だからです。符号を見るだけでよく、根を計算する必要がありません。そのため、多項式解析の最初の一歩として理想的です。もし法則から正の根が高々 1 個だと分かれば、数値的な求根をそこに絞れます。
ただし、この法則が示すのは上限だけで、正確な個数ではありません。複素共役根が実根の組を「置き換える」ことがあるため、実際の正の根や負の根は最大値より少なくなることがあります。また、根の大きさや重複度については何も分からず、複素根も検出できません。
実務では、デカルトの符号法則は有理根定理、シュトルムの定理、数値計算法などと組み合わせて使われます。工学では制御系の安定性解析、経済学では市場モデルの均衡数の上限推定、数学教育では多項式の代数的構造と幾何学的挙動を結び付ける教材として活用されています。
符号分析の例
符号変化が根の個数をどう予測するかを、手順付きで示します。
| 係数 | 正の根 | 負の根 |
|---|---|---|
| 1, −3, 2 → f(x) = x²−3x+2 | 2 または 0 | 符号 +−+ → 変化 2 回。f(−x) の符号 ++: 変化 0 回 → 負の根 0 個。実際の根: x=1, x=2。 |
| 1, −2, 5, −3 → f(x) = x³−2x²+5x−3 | 3 または 1 | 符号 +−+− → 変化 3 回。f(−x) = −x³−2x²−5x−3 の符号 −−−−: 変化 0 回 → 負の根 0 個。 |
| 1, 0, −1 → f(x) = x²−1 | 1 | 非零係数の符号 +−: 変化 1 回 → 正の根はちょうど 1 個。f(−x) = x²−1 の符号 +−: 変化 1 回 → 負の根 1 個。根: x=1, x=−1。 |
| 1, 1, 1 → f(x) = x²+x+1 | 0 | 符号 +++: 変化 0 回 → 正の根 0 個。f(−x) = x²−x+1 の符号 +−+: 変化 2 回 → 負の根は 2 個または 0 個。複素根のみです。 |
デカルトの符号法則計算機の使い方
- 多項式を標準形にして、次数の高い順(最高次から)に並べます。
- 各項の係数を、欠けている次数は 0 で補いながらカンマ区切りで入力します。たとえば x³ − 2x² + 5x − 3 は 1,-2,5,-3 です。
- [符号を分析]をクリックします。計算機が f(x) と f(−x) の係数列それぞれの符号変化を数えます。
- [正の実根]の欄で、正の実根の最大個数と、取りうる個数(2 ずつ減少)を確認します。
- [負の実根]の欄で、f(−x) の解析結果を確認し、負の実根の上限を求めます。
デカルトの符号法則 FAQ
デカルトの法則でいう符号変化とは何ですか?
多項式の隣り合う非零係数の符号が反対になると、1 回の符号変化が起こります。たとえば +, −, +, − という列には 3 回の符号変化があります。0 の係数は判定から完全に除外されます。
なぜ実際の根の数は符号変化の回数より少ないことがあるのですか?
複素共役根の組が 1 組あると、実根 2 個の代わりになります。実係数多項式では複素根は必ず対で現れるため、最大値からの減少は常に偶数(2、4、6、…)です。したがって、取りうる正の根の個数は符号変化数から 0、2、4、… を引いたものになります。
負の根にはどう適用しますか?
多項式の x をすべて −x に置き換えて f(−x) を作ります。すると奇数次の項の符号が反転します。次に、新しい係数列の符号変化を数えます。その結果が、元の多項式 f(x) の負の実根の最大個数です。
符号変化を数えるときに 0 の係数は含めますか?
いいえ。0 の係数は無視します。重要なのは非零係数の符号だけです。x⁴ − x² + 1 の非零係数は [1, −1, 1] で、完全な 5 項の列ではなく、正/負/正の 2 回の符号変化として数えます。
この法則はすべての多項式に使えますか?
この法則は実係数多項式ならどれにも適用できます。複素係数多項式には適用できません。また、複素根については何も示しません。示すのは正の実根と負の実根だけです。多項式の次数からは、代数学の基本定理により根の総数(重複度と複素根を含む)が分かります。
法則が 0 個の正の根を予測したらどういう意味ですか?
f(x) の係数列に符号変化が 0 回なら、その多項式には正の実根がありません。実根があるとしても負の数か 0 であり、あるいは実根自体が存在しません。その後 f(−x) を調べて負の根を確認し、残りは複素根になります。