座屈計算機 - オイラー臨界荷重と応力
オイラー式を使って細長い柱の臨界座屈荷重、座屈応力、安全率を計算します。
材料、形状、境界条件のパラメータを入力し、構造部材が座屈破壊に対して安全かどうかを判定します。
座屈計算機 - オイラー臨界荷重と応力
オイラー式を使って細長い柱の臨界座屈荷重、座屈応力、安全率を計算します。
座屈計算機について
構造座屈とは、圧縮荷重を受ける細長い部材が弾性的に短くなり続けるのではなく、横方向にたわむことで突然生じる破壊モードです。座屈は材料の降伏強度を大きく下回る応力でも発生し得るため、単純な圧縮破壊とは異なり、柱やストラットの設計で極めて重要です。
座屈解析の理論的基礎は、1757 年にスイスの数学者レオンハルト・オイラーが初めて導いたオイラー式です。理想的な弾性柱が安定平衡から不安定平衡へ移行する圧縮力である臨界座屈荷重は、次の式で表されます。
Pcr = (π² × E × I) / (K × L)²
ここで E は材料の弾性係数(ヤング率)、I は曲げ軸まわりの断面二次モーメント、K は端部境界条件を考慮する有効長さ係数、L は部材の実際の非支持長さです。K×L は有効長さ Le と呼ばれます。
有効長さ係数 K は各端部の境界条件を表します。固定-固定(両端が完全拘束)では K = 0.5、固定-ピン(一端固定・一端ピン。実務で最も一般的)では K = 0.7、ピン-ピン(両端が回転自由)では K = 1.0、固定-自由(片持ち、一端固定・他端完全自由)では K = 2.0 です。K が小さいほど臨界荷重は大きく増加し、固定-固定柱は同一のピン-ピン柱の 4 倍の荷重を支えられます。
座屈応力は σcr = Pcr / A で、A は断面積です。σcr が材料の降伏強度を超える場合、部材は座屈する前に降伏するため、オイラー式は支配的でなくなり、AISC 360 や Eurocode 3 などの設計基準に示される非弾性座屈式を使用する必要があります。
座屈に対する安全率は SF = Pcr / P と定義され、P は実際の作用荷重です。一般的な設計安全率は、用途、設計基準、破壊時の影響に応じて 1.5〜3.0 程度です。安全率が 1.0 未満であれば、部材はすでに座屈しています。
オイラー式は、完全に真っすぐで、中心載荷され、均質かつ等方性で、弾性挙動を示し、たわみが小さい部材を仮定しています。実際の柱は、初期不整、偏心載荷、製造時の残留応力、荷重偏心によりこれらの仮定から外れます。これらの影響により実際の座屈耐力はオイラー予測より低くなるため、設計基準では低減係数を適用し、安全率を要求します。
座屈は、鉄骨造建物の柱、航空機胴体フレーム、ロケット胴体、油圧シリンダーロッド、自転車フレームなど、多くの構造物で重要な設計照査項目です。橋梁トラスや長スパン構造では、上弦材の圧縮部材は必ず座屈照査を行う必要があります。細長比 KL/r(r = √(I/A) は断面二次半径)は重要な無次元パラメータで、値が大きいほど座屈しやすい部材であることを示します。
座屈計算機の例
材料、形状、端部条件が臨界座屈荷重にどのように影響するかを示す代表的な柱設計例です。
| 柱パラメータ | 臨界荷重 (Pcr) | 端部条件と注記 |
|---|---|---|
| 鋼, L=4.5 m, E=200 GPa, I=0.00015 m⁴, K=0.7, A=0.012 m², P=75,000 N | Pcr ≈ 29,841 kN | 固定-ピン (K=0.7)。安全率 ≈ 398。作用する 75 kN 荷重に対して、この柱は十分に安全範囲内です。 |
| アルミニウム, L=2.8 m, E=70 GPa, I=0.00008 m⁴, K=1.0, A=0.008 m², P=25,000 N | Pcr ≈ 7,050 kN | ピン-ピン (K=1.0)。安全率 ≈ 282。アルミニウムは弾性係数が低いため、鋼と同等の座屈抵抗を得るには形状設計により注意が必要です。 |
| コンクリート, L=3.2 m, E=30 GPa, I=0.00025 m⁴, K=0.5, A=0.025 m², P=120,000 N | Pcr ≈ 28,915 kN | 固定-固定 (K=0.5)。固定-固定条件では、同じ寸法・材料のピン-ピン柱に比べて Pcr が 4 倍になります。 |
| 鋼, L=6.0 m, E=200 GPa, I=0.00005 m⁴, K=2.0, A=0.006 m², P=15,000 N | Pcr ≈ 685 kN | 固定-自由の片持ち (K=2.0)。自由端により座屈抵抗は大幅に低下します。この 6 m の柱では有効長さが 12 m になります。安全率 ≈ 46。 |
座屈計算機の使い方
- 作用する圧縮荷重をニュートン (N) で入力します。これは柱が実際に支える必要のある力です。
- 柱の長さをメートル (m)、材料の弾性係数をギガパスカル (GPa) で入力します。鋼は 200 GPa、アルミニウムは 70 GPa、コンクリートは 25–40 GPa を目安にします。
- 最小の断面二次モーメントを m⁴、断面積を m² で入力します。座屈は I が最小の軸まわりに発生するため、弱軸の I 値を使用してください。
- 端部条件に基づいて有効長さ係数 K を選択します。固定-固定は 0.5、固定-ピンは 0.7、ピン-ピンは 1.0、固定-自由(片持ち)は 2.0 です。
- 「計算」をクリックすると、臨界座屈荷重、座屈応力、有効長さ、安全率が表示されます。構造設計基準では通常、1.5–3 を超える安全率が求められます。
座屈計算機 FAQ
有効長さ係数 K とは何ですか?
有効長さ係数 K は、柱端部の拘束条件を考慮する係数です。実際の長さを、同じ荷重で座屈する等価なピン-ピン柱の長さに換算します。両端固定は K=0.5、一端固定・一端ピンは K=0.7、両端ピンは K=1.0、一端固定・他端完全自由は K=2.0 です。K の選択ミスは、座屈計算で大きな誤差を生む一般的な原因です。
オイラー式が適用できないのはどのような場合ですか?
オイラー式は、材料が降伏する前に弾性範囲で座屈する細長い柱にのみ有効です。遷移点は細長比 KL/r で定義されます。構造用鋼(Fy ≈ 250 MPa、E = 200 GPa)では、おおよそ KL/r = 89 を超えると弾性オイラー座屈が支配的です。より短く太い部材では、非弾性座屈または直接的な圧縮降伏が支配し、AISC や Eurocode 3 などの設計基準式を使用すべきです。
柱設計に必要な安全率はいくつですか?
必要な安全率は、設計基準、荷重の種類、破壊時の影響によって異なります。AISC の荷重抵抗係数設計(LRFD)では、公称座屈耐力に 0.9 の抵抗係数を適用します。許容応力度設計(ASD)では、座屈に対する実効安全率は通常 1.67–1.92 です。予備設計では、オイラー臨界荷重に対して 2.0–3.0 の安全率を取ることが、妥当で保守的な出発点です。
なぜ座屈は E(弾性係数)に依存し、降伏強度には依存しないのですか?
オイラー座屈は強度現象ではなく、安定性(弾性平衡)の現象です。柱は材料が降伏する前に不安定平衡に達するため座屈します。弾性係数 E は柱の曲げ剛性を支配し、剛性の高い材料ほど横たわみに抵抗します。臨界応力が Fy を超える場合にのみ降伏強度が関係し、その時点では非弾性座屈が支配して強度が重要になります。
細長比とは何で、なぜ重要ですか?
細長比は KL/r で、r = √(I/A) は断面二次半径です。これは座屈しやすさを示す重要な無次元指標です。細長比が高いほど部材は座屈しやすくなります。長く細い柱(高い KL/r)は降伏を大きく下回る低応力で座屈し、短く太い柱(低い KL/r)は降伏または圧壊で破壊します。設計基準では KL/r を用いて適用する座屈式を決定します。
オイラー座屈は梁にも適用されますか?
はい。横座屈(LTB)と呼ばれる関連現象が、曲げを受ける梁に影響します。横補剛のない梁が強軸面内で荷重を受けると、横方向に座屈してねじれることがあります。これは柱座屈に似ていますが、曲げとねじりの両方を含みます。この計算機は柱(軸圧縮)の座屈のみを扱います。横座屈には、断面のねじり定数とそり定数を含む別の式が必要です。