電場加速計算機 – 荷電粒子の運動

電場中の荷電粒子の加速度、力、エネルギーを計算

粒子の電荷、電場強度、質量、初速度、移動距離を入力すると、電場内で受ける力、加速度、終速度、得られる運動エネルギーを計算できます。

電場加速計算機 – 荷電粒子の運動
電場中の荷電粒子の加速度、力、エネルギーを計算

電場加速計算機について

荷電粒子を電場に置くと、その電荷と電場強度に比例した力を受けます。この静電力が粒子を加速し、運動エネルギーと速度を変化させます。この過程を理解することは、陰極線管や粒子加速器からイオンスラスターや質量分析計まで、幅広い物理・工学応用の基礎です。 非相対論領域では、支配方程式は非常に単純です。電荷 q、電場強度 E の粒子に働く電気力は F = qE(ニュートン)です。ニュートンの第 2 法則より、加速度は a = F/m = qE/m(m/s²)となり、ここで m は粒子の質量(kg)です。初速度 v₀ で電場中を距離 d 進む粒子の終速度は、運動方程式 v² = v₀² + 2as から導かれ、v_f = √(v₀² + 2ad) となります。粒子が得る運動エネルギーは、電気力のした仕事に等しく、ΔKE = qEd(ジュール)です。 実際には、電場 E は通常、距離 L だけ離れた 2 枚の平行板間の電位差(電圧)V によって作られます:E = V/L です。つまり、粒子が板間全体を通過すると qEd = qV となり、電子ボルトの概念に直結します。1 eV は、1 V の電位差を 1 価電荷の粒子が通過したときに得るエネルギーです。サイクロトロンや直線加速器(linac)などの粒子加速器は、この原理を繰り返し利用して、粒子のエネルギーを MeV あるいは GeV 級まで高めます。 質量分析計は、粒子の質量・電荷・加速度の関係を利用してイオンを分離します。同じ電荷でも質量の異なるイオンは同じ力を受けつつ加速度が異なるため、後段の磁場では速度や曲率半径が変わります。これにより、化学者や生化学者は分子質量を非常に高精度に測定できます。 この計算機は、一様電場中の荷電粒子の古典的(非相対論的)な運動方程式を実装しています。電気力、加速度、終速度、得られる運動エネルギー、指定距離を移動するのに必要な時間を計算します。これらの結果は、粒子速度が光速より十分遅い場合に有効です(工学上の目安としては c の約 10% 未満)。

電場加速の例

これらの例では、陰極線管から粒子加速器まで、よくある荷電粒子のケースを扱います。

粒子と電場運動結果注記
q = −1.602×10⁻¹⁹ C, E = −50 000 N/C, m = 9.109×10⁻³¹ kg, v₀ = 0, d = 0.05 mF = 8.01×10⁻¹⁵ N, a = 8.79×10¹⁵ m/s², v_f ≈ 2.97×10⁷ m/sCRT で電子が加速される例です。電場は陰極(負方向)を向くため、負電荷の電子には正の力が働きます。終速度は光速の約 10% です。
q = 1.602×10⁻¹⁹ C, E = 1 000 000 N/C, m = 1.673×10⁻²⁷ kg, v₀ = 10⁶ m/s, d = 0.1 mF = 1.602×10⁻¹³ N, a = 9.58×10¹³ m/s², v_f ≈ 4.38×10⁶ m/s初速度が 1 Mm/s の線形粒子加速器中の陽子です。電場が陽子に大きな運動エネルギーを与えます。
q = 1.602×10⁻¹⁹ C, E = 10 000 N/C, m = 6.64×10⁻²⁶ kg, v₀ = 50 000 m/s, d = 0.02 mF = 1.602×10⁻¹⁵ N, a = 2.41×10¹⁰ m/s²質量分析計の電場中にある 1 価のイオンです。質量分析計はこの原理を使って、質量電荷比によってイオンを分離します。
q = 3.204×10⁻¹⁹ C, E = 5 000 N/C, m = 6.64×10⁻²⁷ kg, v₀ = 0, d = 0.01 mF = 1.602×10⁻¹⁵ N, a = 2.41×10¹¹ m/s²中程度の電場中のアルファ粒子(ヘリウム原子核、電荷 = +2e)です。アルファ粒子は 2 価で、電子の約 7300 倍の質量があります。

電場加速計算機の使い方

  1. 粒子の電荷をクーロン単位で入力します。代表値は、電子 = −1.602×10⁻¹⁹ C、陽子 = +1.602×10⁻¹⁹ C、アルファ粒子 = +3.204×10⁻¹⁹ C です。科学表記(例: 1.602e-19)を使えます。
  2. 電場強度をニュートン毎クーロン(N/C)で入力します。これはボルト毎メートル(V/m)と同じです。
  3. 粒子の質量をキログラムで入力します。参考値は、電子 ≈ 9.109×10⁻³¹ kg、陽子 ≈ 1.673×10⁻²⁷ kg です。
  4. 初速度(m/s)を入力し、粒子が電場中を進む距離をメートルで入力します。静止から始まる場合は 0 を入れます。
  5. 「計算」をクリックすると、電気力、加速度、終速度、得られる運動エネルギー、推定移動時間が表示されます。

電場加速のよくある質問

荷電粒子はどのように電場で加速されますか?
電場 E は、電荷 q を持つ粒子に F = qE の力を及ぼします。ニュートンの第 2 法則により、この力は a = F/m = qE/m の加速度を生みます。m は粒子の質量です。粒子はその後、電場の向き(負電荷では逆向き)に運動し、電場がした仕事に等しい運動エネルギーを得ます:ΔKE = qEd です。これは陰極線管、粒子加速器、イオンドライブの基本原理です。
電場加速度の式は何ですか?
一様電場中の荷電粒子の加速度は a = qE/m です。q はクーロン単位の電荷、E は N/C(または V/m)単位の電場強度、m は kg 単位の質量です。加速度が分かれば、運動学から終速度 v_f = √(v₀² + 2ad) と時間 t = (v_f − v₀)/a を求められます。得られる運動エネルギーは ΔKE = ½m(v_f² − v₀²) = qEd です。
物理の応用では、電場強度はどれくらいが典型ですか?
電場強度は用途によって大きく異なります。陰極線管では電子を加速するために 10 000–100 000 V/m の電場が使われます。線形粒子加速器では RF 空洞内で数百万 V/m に達する電場を使えます。静電状態の導体球表面の電場は 3×10⁶ V/m(空気の破壊電圧)に達することがあります。質量分析計では 1 000–100 000 V/m 程度の中程度の電場が一般的です。生体では細胞膜をまたぐ電場は mV/m から V/m の範囲で働きます。
同じ電場で、なぜ電子は陽子よりずっと強く加速されるのですか?
電子と陽子はどちらも同じ大きさの素電荷(1.602×10⁻¹⁹ C)を持つため、同じ電場では同じ大きさの電気力 F = qE を受けます。ただし、電子の質量(9.109×10⁻³¹ kg)は陽子の質量(1.673×10⁻²⁷ kg)より約 1836 分の 1 しかありません。加速度は a = F/m なので、同じ電場では電子の加速度は陽子の 1836 倍になります。これが、陰極線管や電子顕微鏡で電子ビームが使われる理由です。低い質量のおかげで、中程度の電圧でも非常に高い速度に到達できます。
荷電粒子が電場中で受ける仕事‐エネルギー定理とは何ですか?
粒子が一様電場中を距離 d だけ進むとき、電気力のした仕事は W = qEd です(電場に平行な運動の場合)。仕事‐エネルギー定理より、これは運動エネルギーの変化に等しくなります:ΔKE = ½mv_f² − ½mv₀² = qEd です。この関係を使えば、加速度や時間を明示的に計算しなくてもエネルギーを求められます。粒子物理では、粒子のエネルギーを電子ボルト(eV)で表すことが多く、1 eV = 1.602×10⁻¹⁹ J は、1 V の電位差を 1 個の素電荷で通過したときに得るエネルギーです。
この計算機は相対論効果を考慮しますか?
いいえ。この計算機は古典的な(非相対論的な)ニュートン力学を使います。粒子の速度が光速より十分遅い(v ≪ c ≈ 3×10⁸ m/s)場合、古典式 a = qE/m は正確です。大きな電圧(おおむね 50 kV 以上)で加速された電子では相対論補正が重要になります。数百 keV を超えると、相対論力学が必須です。陽子やそれより重い粒子では、質量が大きいため、より高いエネルギーまで古典力学が十分に正確です。